今から5年前のちょうど今頃、ドイツのドレスデンという街で短い休暇を過ごした。そこでの一番の目的は市内の美術館で展示されている「雨の形跡」という名前の着物の模様の型紙?を見ることだった。当時は着物に興味はあったけれど、自分で着たり上手に帯を結ぶことができなくて、着物の染め方や織り方、模様のつけ方などの知識も全くなかった。この展示を見にいくことも、どちらかというと夫の方が乗り気だった。
一枚ずつゆっくり型紙を見ていくうちに、これらの模様に魅せられてしまった。ミリ単位で細かくて、これが手作業で行われていたのかと思うと、言葉がない。本当に美しい。
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これらの型紙は125年くらい前から美術館の倉庫に保存されていたことは確かなのだけれど、これらが何であるのかわからなかったこともあり、ずっとそのままにされていたそうだ。125年ということは、ざっと振り返っただけでも第2次大戦前の不安定な時代、大戦、そして東ドイツの時代を超えて保存されていた訳で感慨深い。
日本から誰の手によって、どのような経路で運ばれてきたのかは、わからないのだとか。それにしても本当に細かい模様。どの型紙も本当に手が込んでいて、ものすごく繊細。全部で140ほどの型紙があるとのことで、この日はその中の一部が展示されていた。
この展示を見たこともきっかけのひとつになり、どんどんと着物にのめり込んでいくことに。長い間日本にいた頃には少しも興味がなかったのに、面白いものだ。また残りの型紙の展示があるときには、ぜひ、足を運ぼうと思う。