嬉しかったけれど、悲しかった。

猛暑の日本にいたことが、今思うと夢みたい。

母の世話を….と意気込んでいたのに、私が日本につく前日に結局彼女は入院をしてしまい、なんだか拍子抜けした気持ちでスタートした日本滞在。私が側にいることで喜ぶ母の顔を見られたことは勿論嬉しくもあったけれど、病院まで片道2時間。時差ボケと慣れない暑さのせいからか、途中、心身ともに疲れがたまり、夫に電話をして泣きついてしまった。その結果、途中の数日は病院近くの都内のビジネスホテルに宿泊することにして、ちょっと気分転換をした。

病院は完全看護だし、毎日顔を見せなくてはならないという決まりはない。母も「大変だから、毎日は来なくてもいいよ」とは言ってくれる。ただ普段遠く離れているという私の中の勝手な罪悪感から、わたしの足が毎日病院へ向いてしまうだけなのだけれど。自分の中の自己満足と自分がどう折り合いをつけるかってことなのかな。

母の家にいるときにはもっぱら片付けをした。私の家ではないので、母が帰ってきたときに気を悪くしない程度に見えないところを中心に。それにしてもたくさんのものがあるものだ。例えば挨拶がわりに貰ったであろうどこかの社名入りのタオル。毎日使い捨てたとしても母の残りの人生で使い切れないであろうと思うくらいに開封されていないものが大量にあった。いくら新しくても長年封が開けられていなかったからか、なんとなくカビ臭い匂いがしたので、全部洗ってアイロンをかけた。何かのお礼、お祝いのお返しにいただものなのか、使っていない品物が押し入れやキッチンの棚からいくつも出てきた。やれやれ。ひとつかふたつだけれど、私がドイツの自宅で使いたいなと思うものは母の許可を得てドイツへ持ってきた。

私の滞在の終盤に、母に1泊だけの一時退院の許可が降りて、久しぶりに親子水入らずの時間を過ごすことができた。改めて家にいる母を見ると、5月に会った時よりもさらにひとまわり小さくなっているように見えて切なかった。母と一緒にいることは、すごく嬉しかったけれど、悲しかった。

あっ、台風は本当に怖かった。その時私は母の家にいたのだけれど、空が怒っているような大きな風の音が一晩中響いていて、朝まで眠ることができなかった。晴れてから外を見てみると、近くの農家の竹やぶの竹が何本もポッキリ折れてしまっていてビックリ。それから大きな杉の木も一本、折れていた。幸い、周囲の家には被害が出なかったようだけれど。

自分の老後も含めて、母のこと、家族のこと、色々なことを悶々と考えさせられた滞在だった。誰でも明日にでも何が起きるか分からない。普段から、周辺を整えておくことが大切だと思う。空港で出迎えてくれた夫の顔を見たときは、本当にホッとした。

ドイツはもう秋。夏物をしまうついでに、片付けをしようっと!